教会総会礼拝(2022年2月6日)
コリントの信徒への手紙Ⅰ 10章12-19節(312)
マタイによる福音書 28章16-20節(60)
本日は2022年度の教会総会ですがオンラインで取り行っています。年明けに新型コロナ陽性者が一気に増えた時からなんとなく予想はしていたのですが、本当にこのようになるとは思ってはいませんでした。会議だけでなく、礼拝までオンラインで行っている有様は、ひと昔前の感覚から言えば、宗教施設にあるまじき姿だ、とお叱りを受けそうです。
なんでもかんでも新しいものに飛びつくのは危険だとは思いますが、今は、こうした技術によって教会の皆さん繋がることができて嬉しく思います。1日も早く元に戻りたいのは誰もが感じるところですが、今は現状を受け入れ、与えられている絆を大切にして参りましょう。
さて、本日与えられました福音書の箇所は、マタイによる福音書の28章16節から20節です。マタイ福音書の結論ともいうべきところです。イエス様のご生涯を考える時、十字架から蘇ったイエス様は弟子達と40日過ごされた後、天に戻って行かれた、と捉えられています。ルカによる福音書と、それに続く使徒言行録にはっきりとそう書かれており、とても印象的です。
しかしマタイ福音書には、イエス様が天にお帰りになったシーンより、その時仰った御言葉を強調しています。「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」という御言葉です。マタイは、イエス様は肉眼では見えなくなったけれども、今も変わりなく私たちと共にいてくださっていると強調したがっているように思えます。
そしてその時キリスト者に与えられた命令は、ご自身が天におられようと地におられようと、それが果たされるまで見守り力づけ、励ましていてくださるのだとマタイは記しているのです。
コリントの信徒への手紙を書いたパウロは、福音書を書いたマタイ達12弟子から少し遅れて宣教者となった人物です。彼はまさにマタイ福音書のイエス様の命令を忠実に守って生き抜きました。使徒言行録にはパウロが地中海沿岸を巡り、さまざまな試練に耐えて各地に住むさまざまな人々を弟子とし、教会を立てあげていった様子が記されています。
船が遭難したり、怪我をしたり、病気になったりしたパウロですが、最も彼を苦しめたのは、従来の宗教観に凝り固まって敵対してくる人々でした。ある時はユダヤ教の古い伝統を振りかざす人々と激論を交わし、またある時は迷信の混じった土着の宗教を信じる人々に殺されそうになりました。
民衆は病気や天災などの災難が降りかかるたび、信心が足りないからだとか、もっと生贄を捧げよ、とか根拠のない儀式をする教えが多かったのです。パウロは、そのような迷いから人々を解き放てるのはイエス様だけだと堅く信じていました。ですから偶像崇拝に振り回されるのではなく、キリスト者は神様に愛されているのだ、と説きました。その思いが、先ほど読みましたコリントの信徒への手紙1の10章13節に記されています。
「神は耐えられないような試練を人に与えない」という言葉は世の中で一人歩きしている感じがしますが、ここに記されている神とは、もちろんイエス様のことです。天地を作られた神の一人子イエス様が自らの命を投げ打つほどに、私たちを、あなた達を愛しているのだから、どんな苦しみの時も、決して見捨てられることはない、と説いたのです。どっちを向いて祈っているのかわからないような偶像礼拝はやめて、イエス様を信じて生きることを勧めたのです。
そしてその生き方は2000年近くの時を超えて私たちに引き継がれているのです。
私たちは過去2年にわたって「ONE TEAM」というテーマを掲げて来ました。2019年の新語・流行語大賞の年間大賞に、ラグビーW杯で日本代表がスローガンにしていた「ONE TEAM」が選ばれたのはこの言葉が多くの人々の胸を熱くし、今の自分達に欠けているものを思い起こさせたからでしょう。よもやその数ヶ月後にこれほどに新型コロナの被害が広がり、「ONE TEAM」であり続けることの困難さが露わになるとは誰も予想していなかったと思います。
海外のキリスト教会の中には「信仰があれば集まっても大丈夫」とばかりに集会を続けた結果、クラスターを発生させてしまったところもありました。
しかし私たちは、神様に守ってもらえるから、と無防備に集まるのではなく、どうすれば一堂に会して礼拝が続けられるのか、可能な限り情報を集め、予防に努めて来ました。昨年の冬から座布団を外し、窓を開け、厚着をしながら礼拝しました。これからも神様から与えらえた境遇の中で、知恵を働かせ、知識を生かし、信仰を深め、兄弟姉妹の絆を強くしていくことが必要なのだと信じて参りましょう。
これからの時も、これからの時代も、わたしたちは父と子と聖霊の名によって、歩むのです。
この名によってというのは、「関わる」という意味です。神様、イエス様聖霊なる神様と、関係性をはっきりさせていくのがここで語られているのです。
キリストが私を救うために関わってくださったのだから、わたしもキリストの体の一部として関わることを喜びとしましょう。キリストを頭とする知恵と知識で、臨んでいきましょう。頼るべきものは私達と共にいるキリストです。イエス様と共にもう一度「ONE TEAM」となり、与えられるあらゆる知恵や手段を用いて、新しい1年も乗り切ってまいりましょう。
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