2017年1月11日水曜日

「主の星に導かれた学者たち」(マタイ2:1-12)

マタイによる福音書第21-12節、201718日(日)、顕現主日礼拝、(典礼色―白―)、イザヤ書第601-6節、エフェソの信徒への手紙第31-12節、讃美唱72(詩編第721-15節)

説教「主の星に導かれた学者たち」(マタイ21-12
 今日は、顕現主日と言われる特別の主の日に当たります。顕現日は16日で、1月2日から8日の間で、それに近い日曜日が、顕現主日となります。
 そして、この日には、いわゆる東方から来た3人の博士たちの出来事であるマタイ福音書第21節から12節が、古くから、この日の福音所の個所として読まれてきました。クリスマスは、1225日に祝われますが、そのクリスマスが祝われるようになるよりも何世紀も前から、特に西方教会、今のヨーロッパの教会では、顕現日が特別の祝日として、盛大に祝われ、この個所が読まれてきたのです。それは、何故なのでしょうか、それについて、しばらくご一緒に考えてみたいと思います。 今日の記事は、もとの文を直訳すると、「で、そのイエスは、ヘロデ王の日々に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方から、マギたちが、到来して、こう語る」と始まっています。
 ヨセフに、夢で天使が現れて語った、「その子は、聖霊によって身ごもり、その民を罪から贖う者となる、その子をイエスと名付けなさい」とのお告げにヨセフがみ言葉通りに従って、お生まれになったお方が具体的にいつどこで生まれたのかを、ここで、マタイは記しています。
 そして、大きく、この個所を3つに分けることができますが、そのいづれにも、「星」と「ひれ伏す(拝む)」という言葉が出てきます。それらが、今日の記事の鍵の言葉になっていることが分かります。マギたち、マゴスという言葉は、博士たちとか、占星術の学者たちとか、あるいは、マジシャンのもとになっている言葉だとして、魔術師、魔法使い、星占い、あるいは、山師・詐欺師といった悪い意味で使われる場合もあります。しかし、いずれにしろ、「ユダヤ人たちの王」としてお生まれになった方を拝みに来たというのですから、ユダヤ人たちが、アッシリア帝国やバビロン帝国によって占領され、連れて行かれた地で、ユダヤ人たちとの接触があった国の人たちだと考えられます。
 彼らがエルサレムに到来して、ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますかと突如人々に聞くのです。すると、ユダヤ人の王であるヘロデ王はうろたえたとあります。しかも、全エルサレムまでもそうであったと言います。なぜでしょうか。 ヘロデ大王は、南の隣国のイドマヤの出身で、エルサレム神殿を再建したり、ローマ帝国に取り入って権力を増大したりする、政治家としての手腕には長けていましたが、自分の地位がいつ脅かされないかと特に晩年は危惧しており、王がうろたえたことは、理解できます。しかし、全エルサレムまでも同様だったのは何故でしょうか。彼らも、やがては、主イエスを迫害し、十字架にかける民となるからでしょうか。
 次に、ヘロデは、祭司長たちや民の律法学者たちを呼び寄せ、メシアは、どこで生まれているのかを知ろうとしていました。 彼らは、答えます。すなわち、「ユダヤのベツレヘムです。なぜなら、ユダの地、ベツレヘムよ、お前はユダの領主たちの中で、一番小さな者ではない、なぜなら、お前の中から、指導者が現れ、私の民イスラエルを牧するであろう」と書かれていますと。しかし、ユダヤ人たちは、教えるだけで、自らが行こうとはしません。 この預言は、ミカ書第5章の1節とサムエル書下第52節に書かれています。すなわち、ダビデの生まれた村、ベツレヘムからメシアは生まれるはずなのです。さらに、ヘロデは、密かに、マギたちを呼び出して、その星の輝きの時を詳しく確かめます。そして、「あなた方は出て行って、正確に調べ、見い出し次第、私に知らせてくれ、私も、その子を拝みに行きたいから」と言って、送り出すのです。 すると、見よ、その昇るのを彼らが見たあの星、彼らの先を行き、その子のいる場所の真上にまで導いて、とまったと記されています。そのとき、それを見て、「彼らはすこぶる大きな喜びを喜んだ」とまでもとの文では訳せる言葉が続きます。 マギたちは、まずは異邦人であったに違いなく、ユダヤ人たちの王が生まれたとの主の星に導かれて、ついにここまで辿り着くことができた、その神の救いの導きを喜んだのです。そして、その家に入ると、その子とその母マリアを見出し、跪いて拝むのです。そして、彼らの宝箱を開けて、黄金、乳香、没薬をささげます。いずれもアラビアや中東の異邦の国の産で、高価な贈り物でありました。しかし、3つであることから、やがて3人のマギたちであったと考えられたり、あるいは、そのマギたちは、王であったと信じられたり、メルキオールなどと名前まで付けられるようになります。 そして、中世の頃には、ルターも、金とは、主イエスが王であること、乳香は、神であることを、また、没薬は、主の受難と死を表しているなどと、象徴的に考えられるようにもなりました。 しかし、最近でも、実はこのマギたちとは、魔術師、あるいは当時流行っていた星占いのような者たちであった者らが、主の星に導かれて、み子のもとにいたり、リュックサックの中に入れて、いわば商売道具に携えていたものを、すべてみ子に、あるいは聖家族に、贈り物としてささげ、全く新しい生き方に変えられたのだとする説もあります。

いずれにしても、私たちもまた、このマギたちと同様に、奇しくも主の星に導かれて、主イエスにまみえることのできた、もともとは、異邦の民であります。み子に邂逅した喜びを知っている者として、2017年の歩みが、お一人お一人、祝福されたものとなりますように。アーメン。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

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