聖霊降臨後最終主日礼拝(2020年11月22日)
エゼキエル書34章11節 エフェソの信徒への手紙1章23節
マタイによる福音書 25章31節―46節
今日のお話に入る前に、少しキリスト教の「基本のキ」あたりをおさらいしておきましょう。イエス様は十字架の上で息を引き取られた後、墓に葬られましたが、三日目に蘇り、再び弟子たちにこの世の生き方を教え導かれました。しかしその日数は短く、40日であったと使徒言行録に記されています。40日の後「再び戻ってくる」と約束されて、御使とともに天の国に帰って行かれたのです。その時、再び地上に戻ってこられるのがいつになるのか、誰にも具体的には知らされませんでした。
ただ、イエス様はいつの日か戻ってこられて、ご自身を信じて生き、死んでいったた者たちを天の国に迎えてくださる。そしてその時、憎しみや戦いの絶えないこの世は終わりを迎える。その出来事を「再び臨む」と書いて再臨と呼びます。その約束を堅く信じた歴代のキリスト教徒たちは、イエス様の再臨の時まで、信仰のともしびを消さないように、次の世代へ次の世代へと伝道し続けたのです。
では、本日の聖書箇所に入りますが、最初の部分で、再臨されたイエス様が人々を右と左により分ける様子が描かれています。あらかじめお話ししておくと、ひとたびイエス様を信じて洗礼を受けた者は決して神様から見放されることはありません。洗礼を受けると言うことは、イエス様がその人を愛し、招かれた証しだからです。洗礼を受けた後、その人がちゃんとしたクリスチャンとして生きられなかったからといって、「永遠の罰を受ける」などと言うことはないのです。
父なる神様は、人間がもともと弱いと言うことを知り抜いておられます。なんといっても、イエス様を遣わしてくださったのは弱い私たちを支えるためでした。つまり、神様はそれほどまでに私たちの弱さに理解があり、放っておけない、救いの手を差し伸べなければ、と思ってくださる方であることを忘れてはなりません。
この「救い」と言う言葉ですが、今更かもしれませんが「キリスト」と言う言葉は日本語では「救い主」と言う意味です。「イエス」が名前で「キリスト」が苗字、ではありません。
ヘブライ語では「メシア」と言われるこの言葉は、本来は「油注がれた者」という意味です。イエス様のお国、イスラエルでは誰かを王様や何かの代表者に任命する時、香りのよい油を注ぎ「メシア」と呼びました。
聖書に描かれたユダヤ民族の歴史の中では、様々なピンチの時が描かれています。よその国で奴隷になったり、度重なる戦争によって国ごと消えそうになったり。しかしどのような時も、神様に導かれ、ピンチを脱出してきました。
私たちの一生においても、予想していなかった災難や不幸に見舞われ、用意した手立てが全く役に立たないとわかった時、人は絶望し、この世には神も仏もないのか、と嘆き悲しみます。しかし、人間に本当の救い主が必要なのはまさにその時なのです。
とはいえ、その救い主は、何かのヒーロー物語のように、スーパーマンが颯爽と登場して、助けてくれる、と言うのとは違います。私たちが「こうなれば良いのに」と思っている方向ではなく、全く違う、新しい道に導いてくださることがしばしばあるのです。救い主は「あなたにとって一番良い道がそこに用意されている」と語りかけるのです。
クリスチャンというのは、救い主キリストなしでは生きることのできない人のことを指します。自分がどれほど無力であるかを知り、救い主に頼るしかないと、生き方を変えた人です。
以前の私たちは、自分の弱さを認めたくなくて虚勢を張り、痛いところをついてくる人を突き放し、喧嘩しながら生きてきたかもしれません。しかしそのようなことをしても、弱さは決してなくなりません。私たちは、弱さを受け入れ、弱さを知りつつ、歩むしかないのです。イエス様は私たちに「強くなれ」とはお教えになりません。「自分の弱さを認め、私に頼りなさい」と言われるのです。
一人一人が決して強くないからこそ、同じ弱さを持った者と共に、憐れむ者として生きる必要があります。イエス様に促されるなら、誰かが飢えているときに食べさせ、喉が渇いているときに飲ませ、旅をしている者に宿を貸し、裸の時に着せ、病気の時に見舞い、牢にいた時に尋ねる、と言う生き方を選びとれるはずです。
これは決して崇高でヒューマニスティックな理想を目指すのではなく、身近なところ、小さなところから始めたので良いのです。イエス様に日々従う生き方を心がけるならば、あなたが行動を起こすタイミングが来た時ピンとくるはずです。その時は迷わず行動できる勇気を願い求めれば良いのです。そうやって私たちはキリストの群れを形づくっていきましょう。頼るべき人には頼り、支える人は支え、嬉しいことも悲しいことも分かち合っていきましょう。
園庭の銀杏です |
焼き上がりはこんな感じ
細切れにして
いただきます! |
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