―現在読んでいる本からー
「キリスト教神学入門」A・E・マクグラス著(神代真砂実訳)
発行 2013年7月25日 6版発行
発行所 教文館
定価 8100円(本体価格7500円)
この本は前任教会から、飯田教会に転任に際して、親しくしていただいた兄弟から記念に贈っていただいたものでのある。今年は、宗教改革500年記念の年でもあり、マルティン・ルターを学び直す良い年ともなっているが、改めてこのような書に出会っていることに感謝している。
著者は、Alister E.McGraths(アリスター・E・マクグラス)で、1953年に北アイルランドに生まれている。現在最も有名な神学者のひとりであるが、この人も私より、わずか2歳年上だと思うと感慨ひとしおである。思い起こすと、マルティン・ルターも、その生涯は、63歳にも満たず、今の私の時点では天に召されていたのである。さて、この本は、ルーテル神学校では、教科書としてが使われているとのことで、前半は一年目に、後半は二年目に用いられているという。このような神学を包括的に学びうる本は、私が神学校にいた時代にはなかったと思う。マクグラスは、聖公会の神学者であるが、分子生物学で博士号を取っているというユニークな人で、若くしてマルクス主義に傾倒するがやがてキリスト教を発見し、幅広い福音主義の神学者として、現在活躍している。
訳者は、神代真砂美(こうじろ・まさみ)氏で、1962年生まれで、ICU大学出身で、現在、東京神学大学で教えておられるようである。訳者あとがきにもあるように、非常にわかりやすい平易な訳で書かれており、マクグラスの意向に沿って、神学の初心者であっても、だれでも手に取って読める優れた訳だと思う。全体で第18章まであって、この最後の章は、「最後の事物」と題されており、いわゆる終末論を扱っている。
本の前半は、神学の基礎的な知識が身につくように、概観的に神学の諸問題が説かれている。現在、第9章の「神論」の終わり近くまで読み進めているが、キリスト教の2000年以上にわたる神学において現れた主要な問題、議論が、その背景から、現在につながる意義まで丁寧に説明されている。全体で800頁以上にもなる本であるが、どなたでも読み切ることができる、待たれていた好著だと思う。聖書をめぐって、また人間の命と死の謎に向かって、この書は人々を光へと案内してくれるだろう。私はルターのガラテヤ書講義のペリカン編英訳本(26巻・28巻)を座右の書としているが、その位置付けにも役立とう。因みに、邦訳はルター著作集第二集、11巻・12巻ガラテヤ大講解・徳善義和訳。
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