聖霊降臨祭・聖餐式(赤)子どもと共に守る礼拝
使徒言行録2章1~13節 ヨハネによる福音書7章37~39節
今日のお話の題にもなっている「ペンテコステ」とは、ギリシア語という外国の言葉で「50」という意味で、もともとは「五旬祭」と呼ばれるユダヤの大きなお祭りの日でした。
ユダヤの人の大切な食べ物は、お米ではなく小麦です。秋に種蒔きした麦は厳しい冬をこえ、この時期に実を結びます。ユダヤの人々は無事に収穫できたことを神様に感謝してお祭りをしました。このお祭りが「ペンテコステ」で、ユダヤの人たちは今でもお祝いしています。
ただイエス様を神様と信じた人たちには、全く別の意味があるお祭りです。それはこの日がイースターから数えて50日目だ、ということです。50日前の4月9日、私たちはイースターをお祝いしました。イエス様が十字架にかかって三日目に復活したことをみんなでお祝いしたのです。
イースターとその後のことを、もう一度順番にお話ししますと、死んでお墓に入れられていたイエス様は三日目の朝復活して、ご自分を裏切った弟子たち、「イエスなんて知らない!」と逃げてしまった弟子たちのところに帰って来られました。
弟子たちは確かに死んでお墓に入れられたイエス様を見て幽霊かお化けかとすごく怖がりました。本物だとわかった後も自分達が裏切ったことをすごく怒られると思いました。でもイエス様は以前と変わらず優しく彼らを赦してくださったので、弟子たちはとても嬉しくなりました。
それからしばらくの間、イエス様は弟子たちと一緒にいてくれました。そして十字架にかかる前にお話ししてくれた「神様のこと」や「天国のこと」をもう一度くわしく教えてくださいました。弟子たちは「今度こそちゃんとやるぞ」と決心していっぱい勉強をしました。
こうして40日目を過ごした後、イエス様は弟子たちを丘の上に集めました。どうやら今度こそお別れのようでした。イエス様は「私が十字架で死んで三日目に蘇ったことや、神様があなた方を愛していることや、この世で死んでも天国で蘇らせる力を持っていることをを、世界中の人々に伝えなさい。」と言われました。
また、こうも言われました。「私が天国に帰ったら、代わりに聖霊と言う名前の神様があなたがたのところに来て力を与えてくださるから、散り散りバラバラにならないで仲間と一緒にいなさい。」
言い終わると、イエス様は雲に包まれて天国に帰っていかれたのです。イエス様のお姿が天へ天へと高く上げられ、見えなくなっていくと、弟子たちはすごく寂しい気持ちになりました。でもイエス様の言われたとおり、みんなで一軒の家に集まってお祈りを始めました。
その人数は120人くらいで、イエス様の弟子とその家族が心を合わせて、それはそれは熱心に神様にお祈りしたのです。「この世界が神様の治められる平和で素晴らしい世界になるよう、イエス様の力を与えてください。」「聖霊という名前の神様を早く送ってくださいますように。」
お祈りして、お祈りして、10日が過ぎた時が、さっきお話ししたユダヤの「五旬祭」の日だったのです。大きなお祭りですから、街はすごく賑やかだったと思いますが、集まった人たちは街に遊びに出かけたりしないで、脇目も振らずにお祈りしていました。すると突然、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえて、彼らがお祈りしていた家中に響き渡りました。そして不思議な炎が現れて、一人ひとりの上にとどまったのです。
「ペンテコステ」の日、こうして炎のような姿で来られたのが聖霊というお名前の神様だったのです。ですからこの日をもう一つの言い方で「聖霊降臨祭」とも呼びます。聖霊が天から降った日だからです。
聖霊様はすぐに目に見えなくなりましたが、どうやら一人一人の心の中にすうっと入って、特別な力をくださったようでした。なぜなら、そこにいた人々は「霊が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話し出した」つまり外国の言葉で喋り始めた、と書かれているからです。
もし、特別な力でパッと外国語が話せるようになったら、もう英語を勉強しなくて良いし、外国の人とペラペラ喋れたらかっこいいなあ、と思う人もいるでしょう。でも聖書をよく読んでみると、弟子たちが外国語を話せるようになったのは「神様の偉大な業」つまり「神様がどんなにすごいか」を伝えるためのようです。楽をするために外国語が喋れますように、と祈ってもどうやら無駄なようです。
しかし聖霊様はイエス様を信じる人みんなに特別な力を与えてくださる方だとわかりました。その力とは急に外国語が喋れるようになるだけではないのです。「イエス様が十字架で死んで三日目に蘇ったことを、世界中の人々に伝える」「神様が私たちを愛していることを伝える」「神様はこの世で死んでも天国で蘇らせる力を持っていることを伝える」ために一人一人に力を与えてくださるのです。
自分は得意なことも人より上手なことも何もないから神様の役に立つなんてとてもとても、とか、病気や障害がある、歳をとってもう力が出ない、そんなふうに思う人もおられるでしょう。でもその方のそばにも聖霊様はおられます。そっと祈ってお話ししてみてください。どんなに苦しい時も、あなたを見離さないイエス様がすぐ近くに居られることをわからせてくださるはずです。
最後になりますが、2000年前のペンテコステの日、聖霊の力によってイエス様を信じる人たちはどんどん増えて、大きなグループとなりました。それが今、世界中にある教会や私たちのルーテル教会の元となったのです。ですからペンテコステは教会の誕生日とも言われています。どうぞそれを覚えていてください。
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