聖霊降臨礼拝(2022年6月5日)
使徒言行録2章1~4節 ヨハネによる福音書14章15~18節
みなさん、おはようございます。今日は聖霊降臨礼拝、イースターから数えて50日目に行う大切なお祭りです。
イエス様は十字架にかかる前、困った人や仲間外れにされている人を助け、神様が守ってくださるとお話されました。そして普通の仕事をしていたおじさんたちを集めて、お手伝いをしてもらいました。そのおじさんたちは弟子と呼ばれました。
弟子たちはイエス様が大好きで、イエス様がお話ししてくださることを一生懸命聞きました。けれど一番大切なこと、イエス様が何度も何度も「三日目に復活する」と言われた言葉を信じることができませんでした。イエス様のように立派で優しくて奇跡を行えるすごい方は王様になるべきで、十字架にかかるなんてあり得ないと思っていたのです。
ですからイエス様が本当に逮捕された時、イエス様の仲間だとバレれば自分も殺されるかもしれない、と死ぬほど恐ろしくなって逃げ出したのです。しかしイエス様は、人間は死にたくないと思ったら大切な人を裏切って逃げ出すこともある、と分かっておられました。また、それでいて、そんなふうに誰かを裏切ってしまうと、後になって寂しくて悲しくて、自分は卑怯者だと考えて、死にたくなるくらい後悔するものだと言うことも知っておられたのです。
ですから、明日はいよいよ十字架にかかるという夜、イエス様はまだピンときていない弟子達に一つの約束をなさいました。「わたしはあなたがたをみなしごにはしておかない。あなたがたのところに戻って来る。」と言うお言葉です。
「みなしご」と言う言葉は今は孤児と言い換えられますが、「みなしご」自体は放送禁止用語ではないそうです。今の日本には孤児を助ける仕組みがありますが、2000年前のイエス様の時代は、幼いうちに両親が死んでしまうと、子どもだけでは生きていけませんでした。
イエス様はご自分が十字架にかかったら、弟子達はまるでみなしごのように心細くなると知っておられました。それで「わたしはあなたがたをみなしごにはしておかない。あなたがたのところに戻って来る。」と言われたのです。私はあなたを見捨てない、と言う意味だったのです。
そして十字架から三日たち、イエス様は約束どおり弟子たちのところに帰ってこられましたが、弟子達は、イエス様を見捨てたことを咎められると思っていました。しかしイエス様は咎めるどころか「私があなたたちを選んだんだから自信を持ちなさい。もう一度信仰を強くして困った人たちを助け、私の教えを宣べ伝えなさい」と言われたのです。弟子たちは深く悔い改め、イエス様のお話を聞きました。
ところが復活から40日が過ぎると、イエス様は「世界中の人に神様のお話をしなさい。私は世界が終わるまでいつもあなたたちといっしょだよ」と言い残して天に帰られます。「わたしはあなたがたをみなしごにはしておかない。」と言われたのに、どうしてなのでしょうか。弟子たちはまた、心細くなりました。
しかしその時、イエス様は「あなたがたのところに戻って来る。」とも言われました。弟子たちはそのお言葉を信じて、イエス様を信じる大勢の人々と共に集まって、熱心に神様にお祈りを始めました。お互い励まし合って毎日毎日お祈りをし始めて10日目のことです。つまりイースターから50日目に特別なことが起きたのです。
聖書には「一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。」と書かれています。炎のような舌が一人一人の頭の上に止まった次の瞬間、彼らは天に帰ってしまったはずのイエス様が、すぐそばにいてくださることがハッキリとわかったのです。
「わたしはあなたがたをみなしごにはしておかない。」と言うお言葉は本当になりました。炎のように現れたのは「聖霊」と呼ばれる神様だったのです。この神様はイエス様を信じる人たちの心の中に入ってくださいました。そのおかげで、イエス様がそばにいて守ってくださることがわかるようになり、イエス様を信じる人たちの信じる心や勇気を何倍、何百倍にもしてくださったのです。
それから弟子たちは「世界中の人に神様のお話をしなさい。」というイエス様のご命令を守って、どんな人にもどんな時でも神様のお話を宣べ伝えました。迫害されてピンチに陥り、もうこれで最期という時ですら、イエス様がそばにいて、天の御国に連れて行ってくださることを堅く信じました。
こうして弟子たちがイエス様の教えをどんどん広めたので、イエス様の教えは広がっていきました。そして祈ったりイエス様のお話を聞いたりするために自由に集まるところを作り、そこに「教会」と名前をつけました。ですから、「聖霊降臨の日」は「教会の生まれた日」「教会の誕生日」なのです。
イースターから数えて50日。聖霊なる神様が降ってきてくださったことを記念してする「聖霊降臨礼拝」は、別名ペンテコステともいいます。ペンテコステというのは「50番目の日」という意味です。
イエス様の教えはたくさんの教会を生み出し、やがて海を超えて世界中に広まり、やがて日本にも届きました。私たちのルーテル飯田教会も120年前にそうしてできた教会の一つです。イエス様がご自分を信じる人を、決して一人ぼっちの寂しい「みなしご」にはしない、と言われたことを、どうぞ覚えておいてください。
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