―最近読んだ本からー新訳「キリス者の自由・聖書への序言」
マルティン・ルター著
石 原 謙 訳
発行者 岡本 厚
発行日 1955年12月20日 第1刷発行
2017年9月5日 第65刷発行
発行所 株式会社 岩波書店
定 価 520円+税
私たちの日本福音ルーテル飯田教会では、宗教改革500年を記念し、マルティン・ルターの著書等を中心に学びを続けている。この度、ルターの「キリスト者の自由」を学び始めた。500年記念著作の「『キリスト者の自由』を読む」を中心に学び始めたのだが、岩波文庫の著名な「キリスト者の自由・聖書への序言」を読むことができた。かつて手にしたときには、それほど深い感動を覚えなかったのだが、今回、月に一度の「ルターの学び」で読んでみて、こんなに素晴らしい本があるのだろうかと改めて驚いている。
ある出会った信徒の方は、無教会の流れを汲む信仰歴の方であるが、ミッションスクールで中高生と長らく教鞭をとられた方である。その方の述懐してよく仰ったことには、「私は毎年、年明けには、ルターの『キリスト者の自由』と「世界の名著」(中央公論社)のアウグスチヌスの『告白』を読んで来たのです」とにこやかに言われるのであった。確かにこれは、得難い本である。1520年に、ルターはこの書を、執筆し、時のツヴィッカウの市長に献呈している。この底本はドイツ語版であるが、ラテン語版の方は、まだ正式に破門される前と見えて、時の教皇に献呈している。石原謙の岩波文庫訳は1955年が初版で、古くから読まれてきたものだが、学習会の感想でも、非常にわかりやすいと、好評である。ルターが最も力をつけて活躍していた1520年の宗教改革的著作の代表格の本である。キリスト教的人間は、すべてのものの上に君主であって、なにものにも従属しない。キリスト教的人間は、すべてのものにつかえる僕であって、
すべてのものに従属するという、矛盾するかに見える二つの命題が、鋭い執筆で展開されていく。キリスト教とは何であるのか、聖書は何を教えているのかを、すべてを含めて50頁足らずで見事に論じ切っているのである。一緒に収められている「聖書への序言」等も、新約聖書また旧約聖書がいかなるものなのか、どのように読めばいいのかを、適切に紹介していて、どなたにとってもキリスト教を理解し、また確認する上で、またとない小著(全123ページ)だ。
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