聖餐式・クリスマス礼拝 2025年12月21(白)
イザヤ書7章10-16節
マタイによる福音書 1章18―25節
幼稚園や教会学校ではクリスマスの時期「むかし ユダヤの人々は」で始まる賛美を歌います。この讃美歌の「尊い方のお生まれを 嬉しく待っておりました」の「尊い方」はもちろんイエス様のことですが、神様が約束してくださったのにイエス様はなかなか生まれず、待っているうちに何百年も経ってしまったのです。
いくら神様のお約束だからといって、どうしてそんなに長い間待つことができたのかといえば、それだけすごい方が来てくれる、と信じていたからでしょう。
実はユダヤの国の周りには強くて大きい国がいくつもありました。昔は欲しいものがあるとすぐ戦争をしました。ユダヤの人たちは神様に守られて戦争に勝ったこともありましたが、「神様よりも、大きな国に守ってもらったほうがいい」と、神様を無視して戦った時、守ってくれるはずの大きな国に裏切られ、家も街も焼かれ、無理やり別の国に連れていかれて働かされ、大変なことになりました。
ユダヤの人たちは苦しくて辛くて困って、どうしようもなくなった時、やっと「神様からのお約束」を思い出しました。大変なことになったのは神様からのお約束「尊い方」が来てくださるのをすっかり忘れていたからだ、神様ごめんなさい、とお詫びしたのです。そして自分の子どもたちには「尊い方」の事を絶対忘れないように、聖書にしっかり書いて伝えたのです。
さっき読んでもらったイザヤ書の言葉は、イエス様がうまれる700年も前に書かれました。この言葉の意味は、「尊い方は、まだ結婚していない女の人のお腹の中に赤ちゃんとなって来られる。その方はインマヌエル、つまり『神は私たちと共におられる』と呼ばれる」ということです。
ユダヤの人たちは「尊い方」、「インマヌエル」が来てくだされば、きっと敵をパッとやっつけて、どこにも負けない強い国になって、みんな幸せになる、と思い、子どもたちもそう信じて、そのまた子どもたちに聖書のお話を伝えました。
こうしてとうとう何百年も経ったのですが、イエス様が生まれた頃のユダヤの国は、ローマ帝国という大きな国との戦争に負けて、みんな貧乏で苦しい暮らしをしていました。だから、尊い方よ、早く来てください、そしてローマをパッとやっつけてください、そう思っている人たちがたくさんいたのです。
さて、マリヤさんもヨセフさんもユダヤの人です。貧乏でしたがもうすぐ結婚することになっていました。二人ともよく聖書をよく読む人で「おとめが身ごもって、男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ」という言葉もまるっと覚えて、目をつぶっても言えました。
そんなマリヤさんのところに天使がやってきて、あなたのお腹に赤ちゃんがいます、それはあなたたちが待っていた「尊い方」です。と教えたのです。マリアさんはびっくりです。
そしてヨセフさんの夢の中にも天使がやってきました。天使はヨセフさんに、マリアさんのお腹の中にいる赤ちゃんこそ「尊い方」「インマヌエル」です、だからあなたは守ってあげなさい、と教えたのです。
マリアさんもヨセフさんもびっくりしましたけれど、神様を信じる強い心がありましたから、神様のお言葉を信じて、赤ちゃんを大切に育てようと決めます。そして、赤ちゃんが生まれたら、天使に教えられた通り「イエス」と名前を付けることにしました。
そして、それからお腹の大きなマリアさんはヨセフさんに守られてベツレヘムの町まで旅をしました。劇ではヨセフさんが「トントントン宿屋さん どうか一晩泊めてください」と歌って、3軒目にやっと「馬小屋ならばあいてます さあさあどうぞ お入りください」と入れてもらえますね。よかったです。
でも、ちょっと待てよ、とも思うのです。イエス様はユダヤの人々が何百年も待っていた「尊い方」です。それなのに宿屋に泊まれません。みんなで楽しくお祝いするはずなのに、お誕生の夜お祝いに来たのは、天使のお告げを聞いた羊飼いたち、そして少し遅れて東の国の博士たちだけです。何かおかしくないですか?
もしかしたらイエス様は本当は「神様のお約束の尊い方」ではなかったのかな?それとも、ユダヤの人たちが「尊い方」が生まれたらローマがパッと滅びると思ったのが勘違いだったのかな?正解は、「尊い方」がローマをパッと滅ぼしてくれると思ったのは勘違いだった、ということなのです。
イエス様はユダヤの国を戦争に勝てる強い国にするために来たのではありませんでした。世界を平和にするために、神様の国からやってきたのです。だから大人になったイエス様は、差別されている人や病気の人を助け、悪い人でも正しく頑張れるよう励ましました。
ユダヤの人々はいつも戦争に勝つことを考えていたので聖書を読み違えてしまったのです。聖書には「尊い方」とは「平和の王」である、と書いてあるのです。
イエス様は、平和な世界というのは武器や兵隊をいっぱい持つことではないし、「私のいうことを聞くならお金をあげる」と命令するのでもないですよ、一人一人が神様を信じて周りの人に優しくすることでちょっとずつ作れるのですよ、と教えたのです。それから、平和を作るのはすごく大変だけど、私はその人のそばにいつもいるよ、と約束してくださいました。
人間は考えが足りないところがあって、戦争で自分の大切な人が死んでしまってから、ようやく「戦争なんかしなければよかった」と考えるのです。それなのに、昔も今も地球のどこかでいつも戦争が起きています。
偉い人から「平和が大事と言っても、強い国が攻めてきたら戦うしかないだろう」と言われたら、私だけでは答えが思いつきません。でも神様に招かれて平和の王イエス様のお誕生をお祝いしている一人一人がうんと考えましょう。小さな一歩から平和は作れるはずです。そしてイエス様は平和を作る人といつも一緒にいてくださる、それを信じてまいりましょう。
これを書いているのは21日の午後です
クリスマス礼拝も終わり、ご報告です
ルーテルキッズバンドはボーカルに
小さな男の子が3人加わりました
まだまだ音程は不確かですが声量は抜群
これからに期待です
同じくボーカルのJさんは脚を捻挫
松葉杖をついての熱唱でした
本当にありがとう


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