2016年7月28日木曜日

「まことのおもてなし」(ルカ10:38-42)

ルカ福音書1038-4220130724、聖霊降臨後第10主日(典礼色―緑―)、創世記18114、コロサイの信徒への手紙121-29、讃美唱15151-5

ルカによる福音書1038-42
 一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた。彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。マルタは、いろいろのもてなしのためせわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」


説教「まことのおもてなし」(ルカ1038-42

 今日の第1朗読は、アブラムが多くの民の父となるとの約束を受けた、アブラハムと名乗るようにと示された後に、期せずして見知らぬ旅人をもてなし、それが3人の天使たちであって、この心からのもてなしを通して、来年の今頃、サラは男の子を与えられているだろうとの祝福を受けることになったというエピソードが記されています。
 第2朗読のコロサイ書は、使徒パウロが、福音の宣教、み言葉の奉仕者として、異邦人世界に遣わされて行くていく次第が述べられています。
 さらに、讃美唱の詩編15編は、主をまことに畏れる人こそ、神の住まいに住むことができると歌い、彼は、人を中傷したりすることのない人であるとみ言葉に生きる人の幸いを歌っています。
 さて、今日のルカ1038-42は、先週の憐れみ深いサマリア人の譬えに続いて記されているエピソードであり、主の出来事、み言葉から成っています。主イエスのエルサレムへの旅の途上での出来事でありますが、これは、ヨハネ福音書の第11章のベタニアでのラザロの復活に関わるマルタとマリアと同一人物であると考えられます。
 ヨハネ福音書では、より複雑な展開となっていますが、今日のマルタとマリアは、その両人物の輪郭がよりはっきりと、簡潔に記されています。
 先週の律法の専門家が永遠の命を受け継ぐには、何をすればいいのでしょうかとの問いかけに対して、主なる神を全身全霊で愛し、また、隣人をも自分自身の如くに愛するようにとの律法の根源に対して、主は「あるサマリア人」の譬えをなさって、隣人に仕えることを教えられましたが、今日の個所では、ある村へと、主はお入りになり、ある女の人でマルタ、女主人と言う意味の名前の姉と、妹のマリアによって迎え入れられます。これは、もてなすと言う意味の言葉であります。
 マルタは、女主人の名にふさわしく、主と一行の弟子たちの食事の世話や、多くのことに心を逸らされ、中心から、周辺へと気が散らされてしまいます。
 ところが、マリアは、主の足元に座って、主のお言葉に聞き入っています。それに、耐えられなくなったマルタは、急にそばに立って、主に苦言を呈します。主よ、私にだけ奉仕をさせて、何ともお思いになりませんか、私のところに来て助けるように言ってやってくださいと。
 しかし、ここで、主イエスがむしろ、み言葉の奉仕を通して、私たちに仕えて下さっています。マリアはそのみ言葉に聞き入ることを通して、癒され、夢中となって、離れられないでいたでしょう。主イエスのみ言葉の奉仕を受けることこそ、「まことのおもてなし」であったのです。
 マルタは多くのごちそうの皿を用意していたことでしょう。しかし、主イエスは言われます。マルタよ、マルタよ、あなたは多くのことで心を悩まし、気を散らしている。マリアは、沢山のお皿のごちそうではないが、よい皿を選んでいる。必要なただ一つのものがある。彼女からその分、分け前、良い皿は取り去られないであろうと。
 私たちが、主なる神を全身全霊で愛するとは、み言葉に聞き入ることであることを、今日の物語は教えてくれています。そこで、初めて私どもの魂は癒され、そこから初めて、憐れみ深いサマリア人のように、隣人にも仕えて行く者に、私どもは変えられて行くのであります。主のみ言葉に聞き入ることが中心でなくなれば、私たちの心は乱れ、健やかな信仰生活を歩むことはできないのであります。当時の男中心のユダヤ教の時代の中で、主イエスの福音がどんなに新しく、造り変え、女性であったマリアが、その後の教会のお手本の弟子として受け継がれていったかが、見て取れるのであります。今日のマリアと共に、私たちの信仰の旅路へと励まされて、新しい1週間へと押し出されていきましょう。
                             アーメン。





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