2020年9月22日火曜日

神様の思いは(日曜日のお話の要約)

 聖霊降臨後第16主日礼拝(2020年9月20日)

ヨナ書3:1-5 フィリピ1:21-24 マタイによる福音書20:1-16

 本日の「ぶどう園の労働者の例え」です。イエス様はあらかじめ「このぶどう園は天国になぞらえているのだよ」とおっしゃいました。ですから、出かけていった主人というのは「神様」ということになります。ここにポイントを置いて読み進めてみましょう。

 

 家の主人は働く場を求めている人を雇うため、朝早く街へ出かけます。主人の出した労働条件、「一日につき1デナリオン」は標準的な賃金で、5000~6000円です。人が集待ったので、主人は彼らをぶどう園へ連れて行きました。

 9時にも主人はもう一度街に行って人々に「ふさわしい賃金を払ってやろう」と声をかけます。主人は12時になって再び広場に行き、人に声をかけ、集めます。3時にも「ふさわしい賃金を払ってやろう」と言います。

 さて、5時になりました。作業も一旦終わりになるはずの時間です。それでも、家の主人は仕事がなく立ち尽くしている人たちに「あなたたちもぶどう園に行きなさい」と声をかけます。

 一日の終わり、主人は監督に「最後に来た者から最初に来たものまで順に賃金を払ってやりなさい」と命じます。最初に夕方5時ごろぶどう園に雇われた人々が集まってきました。彼らは1時間しか働く時間はありませんでした。ところが支払われた賃金は1デナリオン、一日分の賃金でした。誰も雇ってくれなかった自分達を招いてくれたばかりか、一人前の給料を与えてくれた主人に感謝し、喜びながら帰っていったことでしょう。

 次に賃金をもらったのは3時から来た人、その次は12時から来た人、そして9時から来た人、と続きます。最後に、夜明けと同時にぶどう園に雇われた人の支払いの時になります。1時間しか働いてない人々が1デナリオンもらっているのを見て、もっともらえると期待したのは当然とも思えます。ところが彼らに渡されたのも同じ1デナリオンでした。


 ここで彼らは「あの連中と私の賃金が同じとはどういうわけですか。暑い中辛抱して働いたというのに」と主人に詰め寄るのです。もちろんこれは例え話ですから、実際の社会でこんなことはあり得ません。聞いている人々が疑問や不平を持つことをわかった上でイエス様はこのお話をなさっているのです。


 ところで、このたとえ話はマタイ福音書しか記されていません。イエス様の弟子になる前のマタイはローマの手先の徴税人で、同じユダヤの民から罪人扱いされていました。マタイはお金には不自由しませんでしたが、喜びの少ない侘しい生活をしていたと思われます。自分の人生は所詮こんなもの、と思っていたマタイは、イエス様の呼びかけに応えて新しい人生に踏み出し、やがて救いを宣べ伝えるものへと変えられて行きます。

 マタイはイエス様のそばでこのたとえ話を聞いていて、これは自分のためのお話だ、と感じたのではないでしょうか。「1時間しか働かなかった者」とは「働き手として価値がない者」つまり「救ったところでどうしようもない者」のことに違いない、これは確かに自分のことだ、こんなろくでなしの自分を、あえて救って弟子にして働かせてくださっているイエス様にどれほど感謝しても感謝しきれない。そう思いながらこの例え話を自分の福音書に書き残したのでしょう。

 私たちから見れば、福音記者マタイはイエス様の弟子としてキリスト教宣教の初めから付き従い、命がけで働いた人物です。この例え話で言うなら、夜明け前から働いた人物に見えます。ところがマタイ自身は「自分は5時から働きに行ったに過ぎない」と思うのです。


 イエス様は神の御子でありながら、全ての人々の罪を負って十字架にかかられ、人々に神様の愛をお伝えになった。それに比べたら、自分の働きなど足下にも及ばない。全然足りない。それでも神様はこんな自分を召して天の国のために働かせてくださったのだ。

 福音を理解したがゆえにマタイはこれほどまでに謙虚になったのです。日が沈みかけた時に来てもなお、収穫の喜びを与えてくださる、キリストの愛を共に喜ぼう、マタイは感謝と共にそのように書き記しました。


 私たち一人一人はタイミングの差こそあれ、神に呼びかけれ、働くために集められたものであり、その立場に優劣はないことを、マタイの筆を通してイエス様は語りかけておられるのです。

 この例え話の主人は締めくくりにこう言います。「わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように、あなたと同じように支払ってやりたいのだ」。これこそがイエス様の御心なのです。



教会の隣の空き地で
今年もヒガンバナが咲き始めました
暑くても寒くても、九州でもここ飯田でも
この時期に必ず咲いているのを目にします
カレンダーを見たかのごとく
正確に咲くので毎年驚いてしまいます

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