2018年9月6日木曜日

「全信徒祭司性」(p68~85)2018年9月7日 「『キリスト者の自由』を読む」


「全信徒祭司性」(p6885201897
「『キリスト者の自由』を読む」

キリスト者は、すべてのものの上に王であって、なにものにも従属しない。キリスト者は、すべてのものに仕える僕であって、すべての者に従属する。この一見矛盾するかのように思われるルターの『キリスト者の自由』の二つの命題であるが、今回のテーマは、「全信徒祭司性」である。キリスト者は王であると共に、祭司でもあるという。祭司とは、神の前に取り次ぐ者であり、王である以上に、すぐれた者であるといえよう。
 キリストは王であり、かつ祭司である。私どもも、主イエス・キリストと共に、すべてのキリスト者が、祭司とされているのである。祭司は神と人とを取り次ぐのであるから、人の上の王である以上に、ひいでた存在である。
 主イエスは地上に、神の独り後であられたにもかかわらず、低きしもべの形を取られ、お出でになられ、終わりの時まで、しかも十字架の死に至るまで、み旨に従われたのである(フィリピ26-11)。しかも、主イエスは罪を犯したことのないお方であったのに、神は、この罪なきお方を十字架につけ、罪ある我々のために身代わりとされたのである。それゆえ、私どもは、このお方への信仰のみによって、義とされ、無罪とされる。そしてこの信仰によって、主イ、エスの義を私どもは与えられ、私どものすべての罪や負い目は、主イエスが負うてくださるのである(属性の交換、神性と人性の交換、喜ばしき交換?)。
 さて、今回の「全信徒祭司性」であるが、それはしばしば「万人祭司性」とも言われてきた。しかし、これは、主イエス・キリストを信じるキリスト者が祭司性を持つとの主張だから、「全信徒祭司性」と言うのがより正確と言えよう。今回の石居基夫先生のこのテーマをめぐっての解説(p6885)においては、キリスト者が祭司であるっことを、より神学的にとらえようとするところに強調点を置いている。
 ルターは、神のみ言葉のみが、その信仰を私たちに与えるというのです。・・神の語りかけ、神のみことばを受け取ることは、それによって、自分の「魂」がどのような現実の中にあっても、その存在をはっきりとさせられ、確かな救いを受け取ることになると言えるでしょう(p7273)と。
 ルターは、「キリストが私に対してなってくださったように、私もまた、私の隣人に対して一人のキリスト(者)になりたい」と言っている。人に仕え、とりなし、生かすようにキリストの愛を生きる者とされる。これがすべての信仰者における祭司としてのキリストのつとめなので、「全信徒祭司性」という言い方がなされる(p78末~p791ℓ)。
 それは、教職と信徒との区別をまったくなくするということではない。すべての人がベルーフ(それぞれの職業や、あるいは家庭内における主婦の役割など)に召命を受けているとルターは考える。私どもが現在の教会の中で、また、社会や世界の中でどのような働きに召されているのかを『キリスト者の自由』を時々読み返してみることで、つかんでいきたい。
 ある出会った、年老いた信徒は、先日93歳位で召されたのだが、毎年、年の始めには、ルターの『キリスト者の自由』(岩波文庫にて50ページほどのもの、石原謙訳)とアウグスチヌスの『告解』(世界の名著、中央公論社、山田晶訳)を読むと語られていたことを懐かしく思い起こす。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

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